盗撮
電車内などの公共の場所で盗撮や覗き見をした場合には各都道府県で定める迷惑防止条例違反にあたり,6か月以下の懲役又は罰金などに科せられる可能性があります。
一方,他人の住居など公共の場所以外で盗撮などをした場合には軽犯罪法違反にあたり,拘留又は科料が科される可能性があります。
また,盗撮の際に住居等に侵入した場合は「住居侵入」等の罪に問われることもあります。
弁護士法人心では,以下のとおり誠心誠意弁護いたします。
盗撮の弁護内容
1 被害回復(示談成立等)を全力でサポートします。
盗撮や覗き見の事案では,被害者が受けた精神的ダメージは少なくなく,誠意をもって被害回復を迅速に図ることが大切です。
しかし,ご本人様で被害回復を図ろうとしても,通常,警察等は被害者の連絡先を教えてくれません。一方,弁護士がついていれば,被害者の連絡先を教えてくれることが多く,迅速に交渉を始めることができます。
また,交渉の際にも,示談交渉の経験の多い弁護士であれば,それらの経験をいかして,被害者の意見や要望等を汲み取りつつ,迅速に交渉を進めることができます。
弁護活動によって,被害回復を図ることができれば,不起訴処分の可能性がありますし,仮に起訴されたとしても,量刑上有利に取り扱われます。
「盗撮や覗き見をしてしまった・・・被害回復をしたいけど,どうしたらうまくいくのだろう・・・」とお考えの方は,ぜひ,私たちにご相談ください。
弁護士法人心では,示談交渉の3ポイント(▼)を心掛け,これまで数多くの性犯罪の被害回復に努めてきました。これらの経験をいかし,依頼者様を全力でサポートします。
2 犯罪事実を公表される可能性を少なくするようサポートします。
盗撮や覗き見などの性犯罪では,警察・勤務先等からマスコミに対して情報が開示され,事件のことが世間に公表されてしまう可能性があります。
一旦公表されれば,ご家族・ご友人・勤務先等に事件のことを知られてしまい,取り返しのつかないことになりかねません。
盗撮などがやってはいけない行為であることはいうまでもありませんが,公表による不利益はあまりにも大きく,罰金刑等の刑罰と比較しても公平性を欠くあまりにも重い措置であると考えます。
私たちは,事案に応じ,警察やマスコミに対して,公表等をしないよう書面等によって申入れを行い,少しでも公表の可能性が小さくなるよう全力でサポートします。
また,ご友人や勤務先等から事件の情報がマスコミ等に伝わることもありますので,事案によっては,ご友人や勤務先等にしっかり説明して,公表されないようサポートします。
3 自首の同行等を行います。
盗撮や覗き見をしたことの罪の意識に苛まれ,事件発覚を恐れ,不安な毎日を送ることに耐えられず,自首して楽になりたいとご相談に来られる方もいらっしゃいます。
自首した場合には,逃亡したり,証拠を隠したり壊したりする意思がないとして,逮捕されずに在宅事件として扱われる可能性が高くなります。
また,自首が成立した場合には,反省していることを示す事情となり,罪を軽くする方向で考慮されます。
その結果,不起訴処分となる可能性が高まるというメリットもあります。
裁判でも,罪を軽くする事情として考慮してもらうことができます。
私たちにご相談いただければ,自首のメリットや注意点についてご説明したうえで,警察など捜査機関との調整を行うなどの準備を十分に行います。
また,弁護士が自首に同行いたします。
4 冤罪の場合にはできる限り早期の段階から無罪を主張します。
起訴された場合の有罪率は約99%といわれており,盗撮や覗き見をやっていない場合でも,起訴されれば有罪となる可能性は高いといえます。
そのため,盗撮等をやっていないのにやったと疑いをかけられた場合には,起訴されないことが重要になります。
私たちにご相談いただければ,目撃者や関係者から事情を聴取し事実関係の調査を迅速に行います。
その結果を踏まえて,無罪の主張をし,検察官に不起訴処分とするよう求めていきます。
起訴後であっても,証拠収集を行うとともに証拠を精査して,本当は盗撮や覗き見をやっていないと無罪主張をしっかり行い,争っていきます。
5 起訴後も量刑が少しでも軽減されるようサポートします。
裁判では,証人尋問や被告人質問の際,緊張のあまり,思っていることをうまく伝えることができずに,裁判官に誤解を与える言動をとってしまうことがあります。
私たちは,依頼者様に対して事前に十分にアドバイスを行い,また,予行練習を行うことによって,きちんと思っていることを伝えられるようにサポートします。
また,被害者が示談において分割払いによることに難色を示している場合には,示談書を公正証書にすることや刑事和解制度を利用することを提案します。
被害者に対して,示談書を公正証書の形にした場合や刑事和解制度を利用した場合には債務名義を取得できるメリットがあることをきちんと説明し,示談等による被害回復が図られるようサポートします。
示談交渉の3つのポイント
1 被害感情へ十分な配慮をいたします。
盗撮や覗き見などの被害者との示談交渉では,被害感情に十分に配慮しなければならないことはいうまでもなく,私たちは,被害者とアポイントを取る際や直接お会いする際には丁寧な対応を心掛けております。
また,被害者の意見・要望をできる限り汲み取ることも大切です。
たとえば,被害者から,加害者と会わないようにしたいという意見があれば,加害者は被害者の住居や職場を中心とした一定範囲内に立ち入らない旨の条項を盛り込むことを検討いたします。
また,被害者から,示談金等は一括払いでなければ応じないと言われた場合でも,示談書を公正証書にしたり,刑事和解制度を利用することによって,債務名義を取得できることをきちんと説明して,分割払いに応じてもらえるように交渉します。
2 迅速な対応をいたします。
被害者との示談交渉においては,被害者の都合を考慮しながら,いつまでに示談を成立させる必要があるのか常に注意して迅速に進めなければなりません。
例えば,警察等に発覚しておらず,事件を公にしたくないという依頼者様のご意向であれば,被害届等が提出されるまでに示談を成立させる必要があります。
また,前科がつくことを回避したいというご意向であれば,検察官の起訴・不起訴処分の決定前までに示談を成立させる必要があります。
弁護士法人心では,できる限り,被害者が希望する日時に合わせて面会等の日程調整を行う等,迅速な被害回復に向けて柔軟かつ迅速に対応することができます。
3 熱意ある対応をとります。
被害者との示談交渉においては,弁護士が熱意をもって交渉に臨むことが重要なポイントになります。
加害者の弁護人が被害者と交渉する際には,被害者の方からすれば,弁護人の言動を通じて加害者の反省を感じ取ることになります。
そのため,弁護人が熱意をもって対応すれば,被害者に対して,加害者が真に反省していることや加害者が被害回復に真摯に取り組んでいることをきちんと伝えることができます。
私たちは,最後まで諦めずに熱意をもって粘り強く交渉し,依頼者様の熱意を被害者の方に伝え,最終的に示談できるよう全力でサポートします。
盗撮事件の流れ
送検・勾留まで
逮捕前にご相談いただければ,弁護士としてアドバイスできる内容は多くなり,有利な結果となる可能性も高くなります。
また,盗撮で逮捕された場合にも,弁護士と連絡を取りやすくなります。
盗撮で逮捕されると,その方は「被疑者」となります。
警察は被疑者の弁解を「弁解録取書」としてまとめ,それを参考に送検します。
決定するまでの間,最長48時間まで留置の可能性があります。
勾留されるまでの間,家族等身内の方とは面会できませんが,選任された弁護士はほぼいつでも,時間の制限もなく,警察官の立ち会いもなく,被疑者(逮捕された方)との面会が可能です。
制限時間は刻々と迫ってきますので,今後の対応策を大至急打ち合わせいたします。
また,家族や親しい方との連絡も,弁護士を通じて行うことができます。
送検されると検察は24時間以内に勾留が必要かどうかを判断し,必要とした場合裁判官に勾留請求を出します。
必要なしとした場合,釈放されます。
勾留されないためには,性犯罪の場合,被害者への謝罪,被害者との示談,嘆願書の獲得などが最も重要となります。
誠意ある対応を行なっていることを検察官や裁判官に示します。
反省を目に見える形で示すことも重要です。
被害者や周りの人にどれだけ迷惑をかけたか,二度と同じ過ちを犯さないためにどのような方策を行うのかを訴え,真摯に反省していることを示します。
また弁護士を通じて身元引受人を確保し,証拠隠滅や逃亡の恐れがないことを検察官や裁判官に説明するなどの弁護活動も行います。
裁判官は勾留要件を満たしているかを検討し,勾留決定か釈放を判断します。
勾留中は検察官・警察官より様々な取り調べが行われ,最長で20日以内に起訴か不起訴かが判断されます。
勾留中も引き続き,被害者に対して謝罪と反省,例えば更生カウンセリングに通うことなどを約束し,改悛(過ちを悔い改め,心を入れ替えること)を訴え,過ちを繰り返さないための方策を示すことで,被害者からの示談及び嘆願書の獲得を目指します。
これらを獲得できれば,依頼者様に有利な事情変更となり,勾留の必要なしと判断され早期に釈放される可能性もあります。
起訴から裁判まで
起訴されると「被疑者」から「被告人」となります。
裁判が行われるまで引き続き勾留の可能性もありますが,保釈の請求も可能です。
保釈とは保釈金を収めることを条件として,一定の制限はあるものの,身柄の拘束を解かれる制度です。
請求を行うと,裁判官(裁判所)が検察官の意見も聞いた上で許否を決定します。
ただし被告人の立場は変わりませんので,裁判は行われます。
なお,保釈金は裁判手続の終了後,還付手続を行い,依頼者様に返還されます。
保釈中に証拠隠滅や逃亡など保釈の条件に違反した場合,保釈金は没収されます。
検察官の求める処罰(求刑)が罰金の場合,略式起訴として書類のみ裁判所に送られ,処分が決定する場合もあります。
裁判が行われると裁判官により,有罪・無罪が検討され,有罪であれば量刑も言い渡されます。
執行猶予が付くこともあり,猶予期間内に他の刑事事件を起こさなければ,言い渡し自体がなかったことになります。
起訴後は罰金刑,執行猶予の獲得など,実刑とならないための弁護活動が主となります。
これにはもちろん無罪判決獲得も含まれます。
盗撮事件に関する法律
盗撮は,どこで盗撮を行なったかによって,処罰される罪の名前が異なります。
1 住居,浴場,更衣場,便所,その他通常衣服を着けないでいるような場所で,のぞき見をしたうえで盗撮を行なった場合は,のぞき見更衣が軽犯罪法で処罰されます。
この場合は,拘留または科料に処せられます。
拘留(こうりゅう)とは,1日以上30日未満の間,拘留場で拘置される刑です。
科料(かりょう)とは,1000円以上1万円未満を納めさせる刑です。
軽犯罪法
- 1条 左の各号の一に該当する者は,拘留又は科料に処する。
- 二十四 正当な理由がなくて人の住居,浴場,更衣場,便所,その他人が通常衣服を着けないでいるような場所をひそかにのぞき見た者。
なお,通常は,住居などに立ち入ってのぞき見を行なうことになりますので,住居侵入罪なども成立する可能性があります。
2 駅や店舗で盗撮を行なった場合は,各都道府県の条例によって処罰がなされます。
3 盗撮の態様によっては,上記の法律・条例以外で処罰されることもありますので,自分の行為が違法かどうかは,弁護士に正確に行動を伝えた上で,見解を聞いてください。
略式裁判とは
盗撮をしてしまった場合,情状によっては,略式裁判になる可能性があります。
略式裁判とは,刑事裁判の一つですが,正式な裁判とは異なり,公判手続,つまり,傍聴人のいる法廷で被告人質問などを受ける必要がないものになります。
略式裁判になりうるものは,簡易裁判所の管轄に属する事件で,かつ,50万円以下の罰金または科料を科しうる事件であること,被疑者に異議がないことが必要です。
つまり,略式裁判になった場合で,有罪の判決(略式命令)が出る場合は,必ず罰金又は科料の判決が出るということです。
略式裁判は,裁判所に出頭して,その場で略式命令書の交付を受け,その場で罰金を納める場合と,略式命令書が郵送されてきてから,納める場合とがあります。
略式裁判になれば,正式裁判に比べ,2か月近く早く事件が終了することになりますし,執行猶予付の有期懲役判決に比べれば,その刑は軽いといえますので,罪を認めているが,不起訴にはできない場合は,略式裁判を受けるメリットは大きいといえます。
もちろん,人違いなど,無実を主張する場合や罰金の金額に不服がある場合などには,正式裁判の請求をして,正式裁判の中で自分の主張をすることができます。
このように,略式裁判にはメリットもありますが,略式裁判を請求するか否かは,検察官が決定します。
そのため,起訴がなされるまでに,示談を成立させたり,反省状況を示したり,再犯防止策を示したりするなど様々な活動をして,検察官に,不起訴処分ないし略式裁判をするよう働きかけをしていくことが重要です。
そして,それらの資料は,当然略式命令の罰金の金額にも影響をしてきます。
略式命令は,有罪の判決ですので,いわゆる「前科」にはなります。
ただし,執行猶予付であっても禁錮や懲役判決を受けると,資格がとれなかったり,資格を返上しなければならないのに対し,罰金刑の場合は,必ずしもそのようなことにならない場合もあります。
もちろん,社会的には様々な不利益がありますので,慎重な判断が必要です。
盗撮事件と示談交渉
盗撮をしてしまった場合,刑事事件の弁護活動の中心は,示談交渉になります。
示談交渉としては,被害者の方に慰謝料を受領してもらえるかがポイントとなりますが,慰謝料をいくら支払うかは大きな問題です。
一番簡単なケースは,被害者から希望金額を伝えてくる場合で,その金額に納得し,支払いができる場合は,その金額で示談を進めます。
逆に,示談金が少額しか用意できず,その金額を伝えるしかなく,被害者がその金額で領してくれる場合も,その金額で進めます。
問題なのは,被害者が希望金額を言わない場合,あるいはかなり高い金額を伝えてくる場合で,加害者側も一定の金額を支払う準備がある場合です。
この場合,交通事故などの慰謝料のように,一定の「相場」があれば,それを目安に交渉をするのですが,盗撮事件では相場というものはありません。
盗撮の態様や,被害者に与えた影響,加害者の処分の見込みなど様々な要素をもとに,加害者と被害者で交渉することになります。
稀に,インターネット上の情報で,「相場は◯◯円だ」のような話が出ることがありますが,上記のとおり,その事例では,交渉の結果当該金額になったかもしれませんが,ご自身の事例では必ずしも当てはまらないこともあります。
そのため,示談金額については,弁護士とよく相談の上,交渉をする必要があります。
また,示談交渉では,慰謝料の他に,禁止事項を入れる場合があります。
一番多いのは,加害者が被害者に連絡を取る事を禁止する接触禁止条項を入れる場合です。
また,事件のことや示談の内容について,第三者に話さない,口外禁止条項を入れる場合もあります。
さらには,一定の地域に立ち入らない,特定の駅や路線を使用しないなどの条項を入れる場合もあります。
そして,いずれについても,違反した場合に,違約金を支払う条項をつける場合もあります。
その他,事例に応じた条項を柔軟につけて,示談を成立させやすくすることもあります。