借金で首が回らない場合の対応方法
1 法的な対応方法としての債務整理
「借金で首が回らない」というのは一種の慣用表現であり、一般的には収入の中からでは借金返済が困難な状況に陥っていることを示しています。
借金の返済負担を、法的に軽減させる方法として、債務整理があります。
さらに債務整理には、大きく分けて任意整理、個人再生、自己破産の3つの方法があります。
どの方法を選ぶかについては、債務者の方の収入の状況(返済能力)、債務額、資産の有無などを元に検討します。
以下、各債務整理の方法について、詳しく説明します。
2 任意整理
任意整理は、裁判所を通さずに、債権者(貸金業者等)と直接交渉して返済条件を変更するという手法です。
具体的には、残債務の元金と経過利息、遅延損害金の合計額を、36~60か月程度で分割返済できるようになる可能性があります。
将来利息がなくなった場合には返済総額が減り、分割回数を多く設定できた場合には月々の返済額が減ります。
任意整理後の想定返済額を超える返済原資(月々の手取り収入から生活費等を控除した残額)を確保できる場合に、任意整理は可能です。
3 個人再生
個人再生は、裁判所を通じて債務総額を大幅に減額したうえで、減額後の債務を原則として3年間で分割返済できるようになる可能性がある手続きです(一部、減額されない債務もあります)。
任意整理と比べると、かかる費用は多く、長い期間を要する手続きですが、債務返済の負担を軽減する効果は大きいといえます。
すべての債権者を対象とする手続きですが、住宅ローンや自動車ローンなど、自宅や自動車に担保権が設定されている場合であっても、一定の条件を満たすことで、自宅や自動車を失わずに済む可能性があります。
4 自己破産
自己破産は、債務総額や収支の状況からみて、支払不能であると判断された場合に、裁判所を通じて債務の返済責任を法的に免除してもらう手続きです(一部、返済責任が免除されない債務もあります)。
債務返済の負担を軽減する効果は最も大きいといえますが、次のような注意点もあります。
まず、一定の評価額を超える財産を保有している場合、破産手続きの中で換価され、その売却金は債権者への支払い等に充てられます。
また、浪費やギャンブルによって借金を作ったなど、免責不許可事由がある場合、債務の返済責任が免除されない可能性があります。
そのほか、復権(一般的には免責許可決定の確定)までの間、一定の職業に就けないという制限もあります。