自己破産の手続き中に生じる制限
1 自己破産手続き中に生じる制限の概要 2 裁判所や破産管財人からの指示に随時対応できるようにしておく 3 職業の制限(復権までの間) 4 移動の制限(裁判所の許可が必要) 5 郵便物が破産管財人に転送される
1 自己破産手続き中に生じる制限の概要
自己破産を申立てた後、免責許可決定が確定するまでの間は、一定の制限や義務が課されます。
実務上重要なものは、以下のとおりです。
①裁判所や破産管財人からの指示に随時対応できるようにしておく
②職業の制限(復権までの間)
③移動の制限(裁判所の許可が必要)
④郵便物が破産管財人に転送される
これらは、債権者の保護や、スムーズな破産手続きの確保などのためのものであり、手続きが終了すれば基本的に解除されます。
制限や義務に反した場合、破産手続きが進められなくなり、免責が許可されなくなる可能性もあるので、注意が必要です。
2 裁判所や破産管財人からの指示に随時対応できるようにしておく
破産手続きが始まると、裁判所からの質問等への回答、資料提供、管財事件になった場合には破産管財人との面談、財産状況等の報告など、さまざまな対応が求められます。
特に管財事件になり、破産管財人が選任された場合、財産の内容、破産に至った事情などについて、詳細な説明や資料の提供が求められます。
これらに対して誠実な協力をしない場合、免責が許可されない可能性もあります。
また、裁判所で行われる債権者集会や免責審尋にも、基本的には出席する必要があります。
日常生活の中でも、急な連絡や出頭要請に対応できるよう、スケジュール調整などをしておくことが大切です。
3 職業の制限(復権までの間)
自己破産手続きが開始された後、復権(一般的には免責許可決定の確定)までの期間は、法律によって、一定の職業に就くことができないという制限も生じます。
具体的には、警備員、保険募集人、宅地建物取引士などにおいて、登録の取り消しなどにより、制限されることがあります。
復権後は、このような制限は解除されます。
仮に制限の対象となる職業に就いている場合には、事前に勤務先や監督機関に相談するなどして、適切な対応を取ることが必要です。
4 移動の制限(裁判所の許可が必要)
管財事件の場合、自己破産の手続き中は、住居の変更や長期間の出張など、移動に制限がなされます。
これは、債務者の方が行方をくらませることや、財産を隠すなどして、破産手続きを妨げることを防止するための措置です。
具体的には、引っ越しで住居を移転する場合や、出張等で長期間住所地を離れる場合、裁判所の許可が必要となります。
5 郵便物が破産管財人に転送される
管財事件になった場合には、郵便物が破産管財人に転送されます。
これは、主に債務者の方の財産を正確に調査するためのものです。
一般的には、破産管財人が郵便物の内容を確認したら、債務者の方のお手元に返却されます。