高次脳機能障害における示談交渉の時期
1 示談交渉は、後遺障害等級が認定された後
高次脳機能障害になった場合の示談交渉を開始するためには、まず、高次脳機能障害等級が認定される必要があります。
高次脳機能障害の後遺障害等級は、症状の内容や程度に応じて6段階に分類されています。
高次脳機能障害になった場合の賠償金の損害項目は、治療費、入院雑費、通院交通費、付添費用(入院付添費、通院付添費、自宅付添費)、休業損害、将来介護費、家屋改造費、傷害慰謝料、逸失利益、後遺障害慰謝料等です。
軽度な高次脳機能障害の場合は、将来介護費、家屋改造費等が発生しないことが多く、また、逸失利益や後遺障害慰謝料の金額は、後遺障害等級により大きく異なります。
そのため、示談交渉の前に後遺障害の申請をして6段階のいずれの等級に該当するのかを見極めてから、賠償金を計算することになります。
2 高次脳機能障害の後遺障害を申請する時期
高次脳機能障害の後遺障害を申請する時期は、被害者の治療に当たった医師が症状固定と診断したときです。
症状固定とは、これ以上治療を続けても、その症状の改善が期待できなくなった状態をいいます。
高次脳機能障害における症状固定の時期は、被害者の症状の内容や程度、治療内容や症状の経過、年齢等によって様々です。
一般的な目安としては、受傷後1年くらいです。
3 高次脳機能障害の後遺障害申請と賠償金の計算
後遺障害を申請するために、「自動車賠償責任保険後遺障害診断書」、CT・MRIなどの頭部の画像検査資料、「頭部外傷後の意識障害についての所見」、「神経系統の障害に関する医学的意見」、「日常生活状況報告」等、必要な書類を収集します。
後遺障害の申請をして、その結果が適切であれば、認定された等級に応じて賠償金を計算し、示談交渉が始まります。
被害者側に弁護士がついていない場合、後遺障害の申請や賠償金の計算は、通常、加害者の保険会社が行います。
4 高次脳機能障害になった場合は弁護士にご相談ください
適切な高次脳機能障害の等級が認定されるためには、後遺障害の申請書類に障害の内容が正確に記載されていることが重要です。
また、被害者やそのご家族にとって、等級認定の結果の適否、賠償金の損害項目や金額の適否を判断することは至極困難です。
高次脳機能障害になった場合は、弁護士にご相談ください。











